輪廻ノ空-新選組異聞-

「蘭」

私だって、幸せですよ、と。

沖田さんはわたしの耳元で熱い吐息とともに囁いた。

そのまま、ちゅ、と唇が耳に口付けて、頬へと移動して、頬を滑り降りると、唇と唇が触れ合って。

次の瞬間にはお互いに強く強く重ねて押し付け、吸って、ついには口腔でお互いをしっかりと結び結んだ。

「んっ、……むっ、」

鼻から抜けるように声と息がもれ、ちゅっちゅっという音も混ざって。益々力いっぱい抱き合ったわたしたちの体は熱くなって。

「は…っあ…っ」

わたしの足からついに力が抜けてしまった。

背中を支えてくれた沖田さんだったけれど。そのまま自分も腰を屈めて、布団に膝をついて、私のからだを布団の上に横たえた。

キスだけで、じんじんと高ぶった体は、はやく沖田さんのぬくもりとくっつきたくて。わたしは沖田さんに手を伸ばした。

その手を掴んで、甲に、指に、掌に口づけを繰り返しながら、沖田さんは私に覆いかぶさった。

しゅるしゅると、乾いた衣擦れの音がして、私の腰ひもが緩んでほどかれ、白い寝間着の前が開かれた。

夜気に一瞬体がすくんだ。

でも、それは一瞬で。

すぐに自分の腰ひもを解いた沖田さんの体が重なってきた。


体中に熱が駆け巡って。

荒い息遣い、色んな感触、音、香り、それらの全てがわたしにも、沖田さんにも快楽となって浸透した。

沖田さんの重み、上気した顔を見るだけでも、わたしの快感を引き出した。

くぐもった声で「蘭」、「お蘭」と名前を呼ばれることも、わたしのすべてを刺激した。

沖田さんも、気持ちよくなってくれているのかな…。

同じ振動でゆれる体。ほとんど朦朧とした思考だけど、わたしはそっと手を伸ばして沖田さんの頬を包む。

「総司さん。…っ、は…っ、気持ち、いいですか?」

聞く声がかすれた。

「もちろん、です…っ」

微笑が、こんな時なのに、とっても爽やかで。愛しさが一層込みあがった。

かなり恥ずかしくて躊躇っていたけど…聞いた。

「わたしも…、総司さんに触れて、いい、ですか?」

聞いたとたん、沖田さんの顔が、益々赤くなって。

「え…っ?」

と、戸惑いつつも、小声でぼそりと…

「嬉しいです」

という返事が聞こえた時、私は感動と喜びで一杯になった。