緊張した空気が一同に走るのはいつものこと。

この芹沢局長は、新選組にいる三人の局長の中の筆頭、ということになっていて、超〜偉そう。怒りっぽいのか何なのか、鉄で出来た扇子振り回して、気に入らない事があったら、それで叩きのめしたり…。乱暴で危険。人望なんか無いと思うのに、取り巻きみたいな連中がいて、そいつらがおだてたりするし、人のイイ近藤先生なんかは、剣術の実力もあるし、頼りになるって自分は一歩引いてんのよねぇ。

明らかに、この芹沢局長のせいで、新選組の評判オチまくってると思うんだけど…。

って、ハッ!また女みたいな言葉遣いになってるよ、わたし。考え事するときも男口調になるぐらい、男になりきらないとダメって思ってるのに。

この芹沢局長…。下の名前が「鴨」って言ってさ。最初にきいた時吹き出しちゃって。似合ってないから妙に可愛さがあって。

で、もちろん「今笑うた者、前に出ろ!」って言われて。私は芹沢局長のことなんて全然知らないから「すみませーん」って、やっぱり失礼だったとは思ったから、謝りながら前に出たんだけど…脱力したみたいな芹沢局長は、調子が狂ったからもう良いって、怒らずに解放してくれた。

それ以来…何だか妙に気に入られてるんだけど…。

迷惑なのは当然。
それに…さっきも言ったけど、この人の乱暴のせいで、京の人達からとことん嫌われてるんだよね…。京の人達が平和に暮らせるように頑張ってるのに…。ものすごく悲しいよ。

巡察は、隊でひとまとまりになって、京の町を歩きながら不審者がいないか、とか事件は起きてないか、とか見回りをするんだけど、皆わたし達を見たら建物の中に逃げ込んじゃうんだよね。聞き込みとかしても迷惑そうだし…。

まだこっちに来て1週間ちょい。
体の凍りつくような怖い目…って、モチロン、斬り合いに遭遇して…腰抜かしそうになったり…。色々あるけど、芹沢局長の行動が一番怖いかも。大砲を商家に打ち込んだり…。どうにかして辞めさせられないのかな…!