「まぁーいいけど、ママには連絡しといたら?あんま心配かけない方がいいよ。それと、今回うちらあんま練習できてないから、期待はしないでおいて。」
「わかった!ママに言ってみる!期待はしとくから、頑張って!」
「ふふ、やめてって」
鞄を持って席を立ち、二人で教室を出ようとすると
「うっわ〜雨降ってきたじゃん!最ッ悪!」
どこからか、不機嫌な声が聞こえてきた。
窓際の席にいた男子の会話だった。
「マジか〜。俺傘持ってきてねーし。」
「雨降るとか聞いてねーよ〜。」
「蓮見のせいじゃん?」
「あ?…あ〜雨ちゃんね!」
「バッカお前らやめろってw雨ちゃん可愛いじゃん」
「可愛いとかの問題じゃねーし!w」
「え〜俺、幸子ちゃんがいい!」
「あ!俺も俺も!」
ー くだらないことで騒いでバカみたい。 ー
「はすみん、行こ? あ〜ライブ楽しみだなぁ〜」
サチはわざと聞こえなかったふりをしてくれた。
きっと、私が 雨 という名前にコンプレックスを感じていることに気づいている。
だから、はすみん と呼んでくれているんだと思う。
そんな優しいサチが、私は大好きだった。
