桜のつぼみも膨らみかけ、あと少しで咲き始めるというころか。 高校の卒業式を一週間前に終えたというのに、あたしは再び高校へと立ち寄っていた。 春休みを迎えていたせいか、グラウンドから野球部の掛け声や音楽室から吹奏楽部の演奏が聞こえてきた。 もう着ることもないと思っていた制服にまた腕を通すと、ようやく卒業したんだよなぁと実感が湧いてきた。 来客用のスリッパをパタパタと鳴らして、あたしは職員室へと向かう。