「ひどいよ。僕はお母さんとの約束をちゃんと守っているのにさ」


ネモはお母さんの言いつけをきちんと守って暮らしています。


それは『挨拶をすること』『よく噛んで食べること』『きちんと歯を磨くこと』『散らかしっぱなしにしないこと』そして『布団に食べ物を持ち込まないこと』という決め事でした。


「それなのに、お母さんは約束を破ってばっかりなんだからひどいよ。きっと、今度も帰ってこれないんだ」


くさくさした気分で、手紙をテーブルに叩きつけてしまいました。


「ええい、もう、知らない!」


お母さんはこうしている間にも家を目指して歩いているかもしれません。
けれど、ネモはすっかり戻ってこないような気になって、怒りながらもすっかり悲しくなってしまいました。