そしてその日の夕方。
ほぼ定時に仕事を終えた私は、打ちかけたメッセージが表示されたスマホの画面とにらめっこしていた。

そーちゃん、何時くらいに来るんだろう…

時刻は17時半。
真っすぐに帰るには早い気がするけれど、心配だと言ってくれた彼の言葉を思い出すと早く家に帰るに越したことはない気もする。

「うーん…」

なにかしらの連絡が来るまでどこかで時間でも潰していようかな…とも考えたけれど。

不規則であろう彼の仕事の終業時間は全くといっていいほど予想がつかず、とりあえず今日は買い物だけして帰ることに決め、その旨をスマホに打ち込んだ。

駅地下の百貨店でお惣菜でも買って帰ろうかな…
いやでも今朝の手作りに対して、私がデパ地下で買ってきたお惣菜っていうのもなんか女が廃る気が…

そんなことを考えながら歩いていたときだった。

「あ、茉優ちゃーん!」

聞きなれた声に名前を呼ばれて顔を上げると、エントランスのそばに立っている実彩子先輩がにこにこしながらこちらに手を振っている。

「先輩今日非番なのに…どうしたんですか?」
「お疲れ!友達と飲むのにこっちまで来たからちょっと寄ってみたの。これ渡したくて」

そんな言葉と一緒に差し出されたのは、中くらいの大きさの紙袋で。