「じゃあ明日一通り荷物持ってくるから。あの玄関から一番近い部屋、使っていい?」
「あ、うん。どうぞ…」
「合鍵とかってある?」
「友達が使ってたやつがそこの棚の上にあるから、どうぞ…」

テキパキとこの家に住むための事項を確認してくるそーちゃんに、ひたすら返事を返していく。

「家事の分担とか…なんかいろいろ細かいことは今度時間あるときでいい?」
「うん…大丈夫」
「よし。じゃあとりあえず、茉優はもうシャワー浴びて早く寝ろ」
「あ、うん…」

促されるままお風呂に入り、上がってくるとそーちゃんが用意してくれていたほんのりブランデーの香るホットミルクを飲んだ。

そしてあっという間に寝る準備が整った私は、今ベッドの中にいる。

「じゃあゆっくり休んで。おやすみ」
「あ!そーちゃ…」

私が横になったのを確認してからドアノブに手を掛けた彼の背中に思わず掛けてしまいそうになった声。
それを遮るように慌てて口元を押さえたけれど…それは、彼の耳にしっかりと届いてしまったあとだった。

「隣、行っていい?」
「…うん」

振り返った彼の視線と言葉に、俯きながら返事する。
パタンとドアが閉まる音がしてからこちらにやってきたそーちゃんが、べッドの近くの椅子に座った。