「でも…勝手にそんなこと決めていいの?そーちゃん一応芸能人なんだし…」
「大丈夫じゃない?プライベートの範囲だしね」

本当に大丈夫なのだろうか…
そんな心配をしているのは私だけだとでもいうように、目の前の彼は飄々としている。

「無理強いはしたくないけど…ゆっくり考えて、とも言えない。心配だから」
「で、でも…」
「じゃあ5秒待つよ」
「5秒!?」

言い返すよりも早く、形のいい唇が早々にカウントを始めてしまう。

「ごーお。よーん」
「え、いや…」
「…さんにーいち、ぜ…」
「お願いします!」

あ、しまったつい勢いで…
ていうか最後の方のカウント、あれはずるいでしょ!

「ギリギリセーフってとこだけど…ちゃんと間に合った茉優に、はい。ご褒美のお土産」
「え?」

目の前に差し出されたのは、パッケージに関西限定と大きく書かれたカラフルな箱。
クールな彼に少し不釣り合いなそのたこ焼き味のお菓子によって、言い返そうとした私の抗議が言葉になることはなかった。