…ん?今、何て?

あまりに突拍子のないその言葉に、私の思考回路と運動神経は再びフリーズした。

「いや、どうって…」

どこかに飛んで行っていた思考を呼び戻して目の前のそーちゃんの瞳を見つめ返すけれど、いたって彼は真剣らしい。

「実はさ、今度ネット配信のドラマに出ることになったんだけど」

そう切り出された彼の話を聞くところによると。

phaseの曲が主題歌に起用されたシェアハウスを舞台にした連ドラに音くんと2人で出ることになったらしく…撮影に入る前に、人と空間をシェアするという感覚を知ってみたいというのだ。

「ちなみに全部で5人いるシェアメイトの中で俺が1番ベテランの役なんだよね。音は新入りで高校生の役なのに」
「高校生…」
たしかに音くんなら、高校生でも全く違和感ないな…

「で、期間はとりあえず…1か月くらいかな」
「1か月?」
「形だけでも男がいることがわかったら牽制になるだろうし、その間に茉優は今後どうするかを考える時間もできる」
「たしかに…」

仕事をしながら今すぐに家を探すというのは、正直たしかに骨が折れる。
かといってこのままでいるのも、どうしてももう不安がある。

「お互いにメリットのある、悪くない話だと思うんだけど」