…私は選択を誤ったらしかった。

一緒に住む予定だった性悪噓吐き最低男と別れたのが、つい昨日。
奥さんがいるのに私と住もうだなんて、一体どうやってその生活を両立させるつもりだったのだろう。

でも深入りする前にわかったのは、唯一の救いだった。
ならそんなに好きじゃなかったのかと聞かれると…それに対しては、ちゃんと好きだったと思う。
悲しかったし、傷ついた。久しぶりに大泣きして腫れた瞼が…まぁ私の本心なのだろう。

…傷が浅かった、それだけ。

「よし、いい感じ！」
タオルを外し、化粧でごまかせる程度になった顔を確認して…気合を入れるように両手で頬をパンッと挟み込む。

彼氏はいない、旦那もいない。
けれど元々住んでいたここがうちの親の持ち家だったこともあり、幸い家だけはある。仕事もある。
同じ家にはいなくても、大好きで大切な友達もいる。

「んま～！」
毎朝恒例の自家製スムージーをごくごくと喉に流し込み、ビタミンＣを補給した。

「行ってきます！」
誰もいない部屋に不釣り合いなくらい元気な私の声が響くけれど、気にした方が負けだと思う。…思いたい。

今日も空は青くて、日差しはあったかい。
２７歳独身女は、強い！