やっとお昼だ。
相変わらず長い一日。


お弁当を持って教室を出る。
私が向かう先は屋上。



屋上は誰も来ないから凄く楽な場所。


ガチャ
屋上のドアを開けると、春風が柔らかく私の頬を撫でる。


私は二年になったばかり、クラス替えもしたばかり。


だから一緒にご飯を食べる友達がいないって訳じゃない。



この高校に入学してからずっとそう。
今までも、これからも邪魔されない私の唯一の息抜き。



『いただきます、』


いつもと変わらないお弁当の味、もう少しレパートリー増やそうかな?


ガチャ

一人黙々と食べていると誰かが屋上に入ってきた。



屋上に人が来るなんて珍しい。
今までここで食べてたけど、そんなこと一度もなかった。



「あ、由奈ちゃん発見〜」



私に影が被さった。
その影の正体を見るべく、目線を上げる。



『また、あなたですか。』


どうしてまた会うのだろう。
何のために私を探していたの?