『あなた誰ですか?』


後ろには全く知らない人が立っていた。
見たことないから一年生か三年生?



「俺?俺は3年の郁人。
郁人って呼んで!」



いきなり馴れ馴れしいな。



『それで、何の用ですか?』



「まぁ特に用はないんだけど。」



何も用がないのに話しかけてきたの?



『じゃあ、私は行きますね。』



「あ、待って!
それ重いでしょ、手伝ってあげるよ」



そう言うと、その人は私が運んできた教材をいとも簡単に持ち上げた。



『持ってくれなくても大丈夫です』



「いや、女子にこれはきついでしょ?」



私に何も言わせまいと、その人は歩き出した。


まぁ、運んでもらうだけいいか。



そのまま無言で階段を登っていく。
たった一階登っただけなのに凄く長く感じた。



『もう大丈夫です。』


私達のクラスは一番奥にあるから、教室まで運んでもらうとなると目立って何かとめんどくさい事になる。



だから、私は教材を無理やり先輩の手から奪い取った。