思ってたより、新田洋の手際が良かった。


『新田洋って何者、』



「何者って普通の人間だけど?

てか、その新田洋って辞めろよ」



新田洋こそ、私のことお前って呼ぶくせに。フルネームより、お前の方が酷いでしょ。



『じゃあ、新田洋も、お前って呼ぶの辞めてよね。』



「わかった、由奈って呼ぶから洋って呼べ。」



洋ね、なんか懐かしい名前だな。
中学の時洋っていう名前の人がいた。



『洋か、なんか複雑…』



「複雑って何が?」



色んなことが複雑過ぎて、もう2度と思い出したくない名前なのに。




『いや、なんでもない。』



思い出したってろくな事ない、
私が周りと関わらないようになった理由の一つが、洋って人が関係してる。




別にその人が悪い訳じゃない、
ただ私が弱かっただけ。




「そーか、」



なんか複雑そうな顔でこっちを見てる洋に、気付かないふりをした。