珍しいな、そう思った。


私への態度はあからさまなものがあったけど、他のスタッフにはそんな態度を見せることなかったのに。


「やだなぁ……」


なおもブツブツと愚痴を言う彼女に苦笑いを返し、お弁当を取り出して食べ始めた。


お昼食べ損なったらやだし。


今日のお弁当にも定番の卵焼きを入れておいた。

この間は無残な形にしちゃったけど、今日はゆっくりと味わおう。


八木さんの恨めしげな視線を脇に置いて、黄金に輝く卵焼きを見つめた。


いただきまーす。心の中でそう呟いて、箸でつまんで口へ運びかけた時、スタッフルームの扉が乱暴に開いた。


「砂!ご指名だよ!」


「は?」


行き場を失った卵焼きが宙でフリーズした。