交代でお昼の休憩に入った私は既に休憩に入っていた八木さんから声をかけられた。


「砂川さん、午後から外来代わってもらえませんか?」


一瞬何を言われているか分からなかった。


だからすぐには返答できなくて、彼女のホッとした表情に期待させてしまったかと後悔した。


「それは無理かな。こっち、受け持ち患者さんのケアの計画午後に回してるから……」


えー、と落胆の悲鳴に首を傾げた。


「どうかした?八木さん外来行きたがってたじゃない」


お気に入りの日向先生につけてご機嫌の筈だ。


「……どうかしたのは日向先生の方ですよ」


ブスッと口を尖らせて、八木さんはブツブツと独り言のようにこぼし始めた。


「なんか、今日の日向先生機嫌悪いみたいで。朝から上の空だし、イライラしてるみたいで診察進まないし……」


「今日当直明けだから、寝不足で不機嫌なんじゃない?」


「……でも、事務さんの話じゃ診察始まるまではいつもと変わらなかったって……」