そんな私に気づいた治樹は

「どうした、美沙」

顔を覗き込みながら聞いてきた。

「何でもないよ」


「そんな感じしないけどな」


「ほんとに何でもないの」


「そっか…。あんま抱え込むなよ」

私の頭を撫で、体育館に向かうため歩き出した。

何でもないと言っても治樹には分かってしまう。

分かってるけど無理に聞いてこないのが治樹なのだ。

私が自分から話すのを待っていてくれる。

そんな優しい治樹に惚れてる。