桜が舞い始めるこの季節。

高校1年生になった私たちはこれから行われる入学式に出るため、学校に向かっていた。

「美沙、新入生あいさつ緊張してる?」


「少ししてるよ」


「美沙なら大丈夫だと思うけどな」


隣から話しかけてきた吉沢 治樹(よしざわ はるき)は私の幼馴染みなのだ。

「治樹は毎回そう言うけどなんで?」


「美沙が努力してきてるの知ってるからな」


そう言いながら頭を撫でてきた。

セットした髪を崩さないように配慮しながら。

治樹がいつも励ます時などにしてくれるこれには、いつもドキドキしている。


だって治樹は私の好きな人なのだから。

そんなことは言えないけど。