ほろ甘ガトーショコラ



芯のある真っ直ぐ突き通るような声に、私は反射的にその声の方へ振り向く。

ーーーきた。私の心臓はバクバクする。


「あ、守屋先生だ〜!」


クラスメイトの女子達が高い声を上げる。


「先生、隣のクラスの副担任でしょ〜!?クラス間違ってるよ〜?」

「それともうちらのチョコもらいに来た?」

「先生の分のチョコあるよん!」


守屋先生はあっという間に数人の女子に囲まれて、もみくちゃになっている。


「さすが、若手のイケメン教師はモテモテね。男子達もお気の毒に…」


梨香は守屋先生にたかる女子達を見て、少し苦笑いを浮かべた。


ーーー守屋 僚 先生。教員3年目の25歳。担当は社会科の世界史。
短髪の黒髪にくっきりとした二重。180近くある身長。いつもニコニコしていて、明るく活発。
そのルックスと性格から入学当初から大人気の先生だ。
おまけに学生時代はバスケ部だったららしく、運動神経も抜群という。


「ちょっと待って、そんなに一変に食べれないから!」


守屋先生は、たくさんの女の子達に囲まれた中で楽しそうに笑っている。