「いたっ」



声に出すとまたさらに痛くなるようで、ぷっくりと膨らむ赤い玉を見ていたら、なんだか目の前が霞んできた。



慌てて目を擦り、まぶたを開けると散らばったボールが視界に飛び込んでくる。どうやら、カゴも一緒に引っ掛けてしまったらしかった。





「ほんと…何やってんだろ…」




未だ、私から離れるようにゆっくりと転がっていくボール。




言葉にすればするほど、悔しいという感情がふっと沸き立って、行く宛もなく消えていく。
そもそも私は何が悔しいんだろ…。



自分に言ったって何も変わりはしないのに、胸の奥にいるもう1人の自分にどうして?、と問いかけたくなる。



さっき友達に大丈夫だよと笑顔で言ったくせに、今自分の身に起こった事も、この手にできたかすり傷も、みんなとは全く関係の無いことなのに、つい悔しくなる自分がいる。どうしても被害妄想してしまう私がいた。




さらにそんな自分が腹立たしくなってきて、情けないという冷たい感情が襲ってくる。



些細な事で、いつの間にか握った拳が震えるくらいどうしようもなく悲しくなってしまった私はいったいどうしたらいいんだろう…。





私はその場にしゃがみ込むと、腕の間に顔を埋めた。