練習を終え、顔を洗いに水道まで行こうと体育館を出ると、数人の女子の声がした。



「ごめんね~双葉さんが怒るのも無理ないよ」


「そうだね!私たち全然片付けできなかったからー」



倉庫の方から聞こえる。



「うん!あ、明日から…みんなでしよ?」



双葉の声だ。



「あ、でも明日は…。ね、美里ちゃん!」



「そうなのよー。美里ちゃんがおしゃれなカフェ見つけてくれたから一緒に行こうって約束してたの~」



「そ、そうなの?」



だんだん小さくなっていく双葉の声は、不安そうに震えた。



俺は一歩踏み出すと倉庫の方を睨んだ。

女子は倉庫の外に輪になっている。




ふと、奥に立っていた美里と目が合った、と思うと彼女はすぐ目をそらした。