なんでだー、と大声で嘆く乙哉のすっきりした頭を撫でながら和樹は俺を見て、それにしても、と続ける。
「双葉結衣さんってあの隣のクラスの子だよね?湊いつ知り合ったの?」
「別に。昨日話してただけ。」
素っ気なく返したつもりだったが、和樹は含み顔でふーんと言った。
「なんだよ。」
「いやぁ?湊もそういう所あるんだなって。」
俺はにやにやする和樹の視線から逃げるように、手元のリュックの中を探り始めた。
「もうさ、俺本気で狙おうかな」
乙哉がふと呟いた言葉に手が止まる。
「双葉ちゃん。行ける気がしてきた!てか行くわ!」
「馬鹿かよ」