私は少しおどおどと口を開いた。




「仲いいんだね」




別に意識したつもりは無いけれど、またいつもの笑顔になっているみたいだ。


明日、頬のあたりが筋肉痛になってそう。


まだ朝なのにも関わらずそんなことを考えてしまうくらい、私は笑顔を振りまいているらしかった。




「私とね、湊は小さい頃から幼なじみなの」




「そうなんだ」




「家が隣で、よく遊んでて」





ねー、と美里ちゃんは一ノ瀬くんの方を見る。


彼は面倒くさそうに教室の方を向いていた。
視線の先には、一ノ瀬くんの友達なのか2人の男子がにやにやとこちらに手を振っている。




私はなんとなくここにいちゃいけないような気がして、2人に、じゃあ、と断って教室へ戻ろうとした。



「私も。じゃあね結衣」



可愛らしい笑顔の美里ちゃんに手を振って、一ノ瀬くんの横を通り過ぎようとした時、ふと腕を掴まれた。



「今日、放課後」




教室へ入って行く美里ちゃんに目をやる一ノ瀬くんの言いたいことを理解した私は、




「大丈夫。ちゃんと言うよ」




うん、と彼にうなづいて見せた。