「湊にタオル借りてたの?」




一瞬だけ美里ちゃんは顔に影を落とした。でもすぐにふわっと微笑んで、そうだったんだね、と言った。



「湊やさしいとこあんじゃんっ」



「別に」




「ほんとそういうとこ、昔から変わんないよね」




「知らね」




「みんな冷たい冷たいって言ってるけど、実は優しい一面もあって」




「うるせぇってお前」




そう言って一ノ瀬くんは、美里ちゃんの肩をぐいっと押して絡んだ腕をほどいた。
美里ちゃんはそれすらも嬉しそうににこにこしている。