「湊ー!おはよ!ん?あ、結衣じゃん!」
長い黒髪を右耳の下で束ねて、スカートの裾がぎりぎりの美少女は、一ノ瀬くんの腕に自分の腕を絡めると私の方を見た。
「どうしたのー?結衣?」
彼女は確か、美里ちゃんっていう名前だったはず…
私は彼女ににこっといつもの笑顔を貼り付けた。
「一ノ瀬くんにタオルを借りてたから、返しに来たの」
彼女は私と同じテニス部だ。そして自販機に行きたいと言い出した子でもある。
いつもは、双葉さんて呼ぶのに…
腕を絡められてうんざりな顔をしている一ノ瀬くんと、正反対に嬉しそうな顔をしている美里ちゃんを見て私は納得した。
そうだよね、かっこいいもん…
