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体育館からする、ダン、ダン、と重く、それでいてリズミカルに刻まれるボールのつく音を右耳に聞きながら、私はガラッと倉庫の引き戸を開けた。



建てられてもう十数年経つらしいというこの倉庫は、テニス部とその他隣にある体育館を使う部活が兼用して使っている。



中は、教室の半分くらいの広さで雨の日はここでトレーニングをするという部活もあり、一歩踏み入れると、少し汗臭いツンとした臭いが鼻をかすめた。



中央の何も置かれていないスペースを突っ切り、私は一番右奥の棚に腕を上げてカゴを置く。



胸よりも少し高い位置にある棚の板は、少しささくれだっていて、腕を下ろした拍子に不運にも、私はそこに手をかすめてしまった。



指先にピリッと痛みが走る。