翌日の朝
がやがやとした廊下を1人でうろうろしながら、私は隣の教室をのぞき込んでいた。
手には、雑貨屋の紙袋に入れた水色のタオルがある。
人に聞けば早いけれど、相手が人気者だからちょっと弱腰になってしまう。
どうしようどうしようと、悩んでいたら後ろから声をかけられた。
「何やってんの?」
「い、一ノ瀬くん」
「ん?あ、ああタオルか」
改めて制服の一ノ瀬くんを見ると、ドキッと胸がなった。
背が高い…。
昨日はそんなに高いと思わなかったのに、目線が私よりも数センチ上にあった。
「はい。これありがとう。」
「おう」
一ノ瀬くんが私の手から紙袋を受け取った時、さらに後ろから声がかかった。少し高い声だ。