私は、そもそも前に進まなきゃならない。




はっきりと言える自分に変わる。そう一ノ瀬くんに指摘された時、私は変わるなら、今まだお母さんに縛られている自分を断ち切りたい。そうも思ったのだ。




それに家族写真は千夏さんが見つけた時、きっと複雑な思いになる。




そう考えた私は、写真を横にして左手と右手でつまんで反対方向に動かした。




ビリッ。





部屋にしんみりと響いた音は、とても切なかった。







そのあとは、隠していた他のお母さんとの思い出を一つ一つ部屋の中の明るい場所に置いていった。




最後に見回した時、カーテンの隙間から差し込む白い光が、重みのあった部屋を明るく照らしていた。