“変わりたい?”




頭の中で一ノ瀬くんの声が蘇った。





同時に数時間前の会話が、まるで準備されてたかのように脳内のスクリーンに鮮やかに映し出される。


いや、ずっと無意識に考えていたのかもしれない。




私は、ベットから降りると真っ直ぐに向かってクローゼットの前に立った。



ここを開けるのは何年ぶりだろ…
…ずっと避けてきた。
でも、もう。




私はゆっくりと手を伸ばした。




中にあったのは、大小様々なダンボールと、その上にちょこんとのせられた薄汚れたクマのぬいぐるみだった。