1年生がボールの個数確認と片付けをしなくちゃいけないという決まりは、入部したあとすぐ先輩から教わった。あの時みんな笑顔でハイとうなづいたはずなのに、どうして今、私の周囲には誰もいないんだろ。


いつからか毎日1人で悶々と悩み続け、そろそろ飽きてもおかしくないはずなのに、私は今日もまた同じことを考えていた。



「…257、258、259。………あれ?ひとつ足りない」



最後のカゴに入っていた最後のボールを取り出しながら、私は首をひねると周りをきょろきょろ見渡した。でも、コートのどこにも黄色い蛍光色は見当たらない。



……数え間違い?



ぎゅっと曲げていた膝を、軽く屈伸しながら伸ばして、高い所からもう1度見渡す。



やっぱりないか…。



とりあえず、他のカゴは片付けよう。
私は通学鞄より少し重いボールカゴを持ち上げて、体育館横の倉庫へと向かった。