スタジアムには、たくさんの応援団が集まっていた。

「いよいよ決勝だ。みんな、気合入れていこう!」

 桐邦のベンチ前。
 円陣の中で声を上げたのは、大河センパイ。
 すかさず潤くんがツッコミをいれる。
「それはオレの台詞だ」
「いーじゃないですか。誰が言ったって」
「まあな」

 これに勝ったら全国大会出場が決まる。
 ……そんな気負いはないみたい。
 普段の練習と変わらない雰囲気。

「みんな。よく聞いてくれ」
「生徒総会でも始まるみたいだ」

 いちいち茶々を入れる大河センパイを無視して、前生徒会長の潤くんは続ける。

「オレたちも相手も、同じ高校生なんだ。臆するな」

 そして背後を振り返る。

「……と、あっちのチームは言ってんじゃないかと思う」
「あはは」
「それはオレたちが一番、身をもって知っているはずだ」