「別れてください」

 あたしは初めてその思いを言葉にした。

「センパイが想っているようには、想ってくれていません。だから、別れたほうがいいんです」

 つかの間の沈黙。
 あたしは恐れていた。また、話をそらされるんじゃないかって、不安だった。
 逃げないで! 答えて!
 どんな返事でもいいから、言って。
 でないと、将人センパイ、いつまでたっても進めないよ。
 ずっとこのままだよ。
  
「……そんなの知ってる。だが、どうしようもないんだ」


 将人センパイはそれだけ言うと、練習に戻っていった。
 決勝戦は2日後に迫っていた。