あたしは潤くんと遊ぶのが好きだった。かくれんぼも鬼ごっこも、ふたりで組んだときは絶対負けなかった。
 一緒になって神社の裏手の絶壁をよじのぼったり、1個のブランコに何人乗れるか挑戦したり、セミの抜け殻集めをしたりした。
 次はなにしようか、という潤くんの笑顔を思うだけで、あたしも楽しくなった。

「オジサン、潤くんも一緒がいいよ。あざみと一緒。遊園地、来れる?」
 ジェットコースターに乗りたかった。背が小さくてあたしはダメだと言われたけど、潤くんがいればあたしも乗れる気がした。

 オジサンは歩くのが速かった。あたしの手をきつく握り、せかせかと大股で進んだ。

 あたしは引きずられないように、一生懸命走った。転びそうになりながら、息を弾ませながら――オジサンはあたしのそんな様子に気づいていなかった。なにか、他のことを考えているようだった。幼心にもそれはわかった。