「ゆめ。」 名前を呼ばれて後ろを振り向く。 「なに。」 「手、繋ぐよ。」 は? い? 「いや、なんで?」 子供じゃあるまいし。 「おれら、付き合おうぜ。」 「いや、わたしけんちゃんだいっきらいなのに?」 「だから、付き合うんでしょ。」 そう断言するこいつはたぶんわかってる。わたしのだいっきらいの意味を。 手を差しのべてるあいつの手をうつむきながらぎゅってにぎる。 あああ、もうだめだ。 顔を真っ赤にさせながら上をむくとあいつが満足そうにうなずいているのが見えた。