どのくらいの時間がたったんだろう。
「わかった。もう、いい」
 冷めた声が聞こえた。
 潤くんの顔を見れなかった。
 あの目を見たら、私が間違っているって、感じそうだった。
 なんでもない表情を無理やり作って、痛いくらいの視線を浴びながら、潤くんから離れるように歩きだす。

「オレたち……少し距離をおいたほうがいいのかもな」

 決別ともとれる最悪の言葉を背中で聞いた。


 そのあとどこをどう歩いたのか、覚えていない。
 とにかくひとりになりたくて、がむしゃらに突き進んだ。
 学校の近くの丘にたどりついた。

 息がだいぶあがっていた。鼓動が激しい。
 ようやくまわりをみる余裕がでてきた。

 雪はやみ、代わりにやわらかい日ざしが短く生えた芝に降りそそいでいる。
 新芽を吹いた木々の枝も、その光のかけらを照りかえしている。
 石のベンチがあったから、ハンカチでひとなでして座った。

 授業はないから、今日は学校はおしまい。
 明日の期末テストの勉強も、どうだっていい。
 頑張ったって、かなわないし。
 鼻をすすった。
 寒い。