十二月二十四日。
 あのあと、なにごともなかったかのように、潤くん家を後にした。
 潤くんは家まで送ると言ってくれたけど、私は(ああいうことがあった直後だったから)気恥ずかしかったので、家に着いたら電話すると言って、別れた。
 コール一回で潤くんが出た。
 電話のまえで待っててくれたみたい。
 でもそれはおくびにも出さない。
 なんだかかわいい。

「初もうでに行こう」
と、そのとき私は突然言った。
「いいよ」
と潤くんが答えた。答えた後、こう続けた。
「なに? 次の約束が欲しくなったのか?」
 私はちょっとだけむきになった。
「恋人同士じゃあるまいし」
 潤くんはうれしそうに――ほんとうにうれしそうに――笑った。
「そっか」