結局、クリスマスイヴの夜は潤くん家でディナーをごちそうになってしまった。
 ――というのは、我が柏家ではクリスマスなるイベントは行わず、私も未歩やクラスの子たちと二十三日にパーティーをしたものの、イヴの予定はなかったから、っていうのがひとつ。
 もうひとつは潤くんと、潤くんのお母さんにしきりに誘われたからなの。
 ついでに言わせてもらうと、一見和風の川崎家は入ってみると意外に洋風の部屋も多かった。
 ごはんを食べたその部屋も洋風でした。
 和気あいあいと会食をすませ、なごり惜しげな潤くんの両親(気のせいじゃないよっ)をしりめに、私たちはお茶を持って潤くんの部屋へと移動した。
 ドアを閉めるなり、私は口を開いた。

「ひどい」
「なにがだよ」

 お茶をパソコンデスクに置き、バッグから私が取り出したのは、通知表。
 ピアノの上にある、潤くんのと比べる。
 10段階評価で7から10の数字が並び、体育だけ5なのが、私。
 潤くんのは――。

「ひどくなんかないさ、上出来だよ。それ、クラスで言ってみろよ。半殺しにされるぜ」
「私のことじゃなくて、あなたのことよ。川崎くん」
「あっ、なつかしいねえ。その呼びかた」
「ごまかすなっ。……ほとんどオール10じゃないのっ」
「……技術と美術が8だよ」
「他は10じゃないっ。……頭にくるわね。手抜きをしてたこと、知ってはいたけど、まさかここまで実力を隠していたなんて。――なに笑ってんのよ?」
「いや、でも……最初にそれに気づいたの、早智だったから」
「それって、おだててるの?」

 潤くんの一学期の成績は、5から8が多数を占め、体育が10だった。
 期末で首席だったとはいえ、中間がよくなかったからね。