りすたーと。

「ごめんな。俺のせいだよな。」



その時だれかの声が聞こえた。



言いたい。違うよって言いたい。




だけど今の私にはその男の人の声。



わたしの元担任らしき声をだまって聞くことしかできなかった。



「ほんとにごめんな。」


なんであやまるの。


先生はなにもしてないのに。


「もっとちゃんとお前に教えるべきだった。」



先生はもう十分教えてくれたよ。



いろんなこと。




友達の大切さも、勉強も、

先生には言ってなかったけど私は先生から人を愛する大切さも教わったよ。



「おまえに放課後勉強教えてくださいって言われた時、何回か断っただろ?」



あったね。でも先生。それは先生同士の付き合いとか。ほかの仕事があったからでしょ?

勝手に一人で落ち込んでたけどね。


「あれ、嘘だった。ごめんな。それを教えてれば今お前は入学式に出れてたかもしれないよな。」



え…


うそ…でしょ。


嘘だって言って。先生に限ってそんな事しないって。



「お前以外の生徒に教えてた。1対1がいい。って言われてお前を断るしかなかった。だけどそれは表向きの理由で…」


先生。もうその先は聞きたくない。


言わないで。


私、聞こえてるんだよ?


先生、言わないで。


「俺はその生徒に好意を持ってた。先生としてではなく1人の男として。」


うん。もういいよ。


わかったから。だからもう言わないで。


「その日放課後勉強教えた後、そいつを家まで送った。だけどそいつの家には誰もいなくて。そいつは毎日のことだから。慣れてるから。って言ったけど俺はほっとけなくて」


聞きたくないよ…。


「そいつの家に入った。夜ご飯一緒にたべて。そいつはもう親と半年も会ってないって言った。俺は守りたいって思った。先生をやめてでもいい。感情が抑えきれなくなって」


うん、分かった。



もういいよ、先生。




そんな話聞きたくないよ。





「そんなことする暇があればお前に教えてやればよかった。お前に言うのもおかしいと思うけどそいつは…」




ねぇなんで。


なんで言っちゃうの。


知らないよそんなの。黙ってれば私が知ること無かったのに。




「俺はそのあとも何回かそいつの家に行った。俺、まじでばかだよな。教師失格だ。」