思いっきり叫んで陽希くんを突き飛ばす。ゴキブリは宇宙一嫌いな私の天敵だ。それがオモチャであろうと関係ない。


「ったく~、何すんだよなつめ。僕の可愛い顔に傷でもついたら責任取れんの?」


「仕方ないじゃないですか!私ゴキブリは大嫌いなんです!」


涙目で必死に訴える。陽希くんは仏頂面でゴキブリを窓から投げ捨てた。


「ちょおおお!何してるんですか!?不法投棄ですよぉ!?」


「しゃーないじゃん。それともまた驚かされたいの?」


うっ...


痛い所を突かれ何も言い返せなくなる。助手席では大和くんがクスクスと笑っていた。


「2人とも仲いいね。なつめくん、陽希との方が気合うんじゃない?」


「大和。それどういう意味だよ」


大和くんの言葉に、翔くんが車に乗ってから初めて声を発した。


「そのままの意味なんだけどね」


大和くんはニッコリと微笑んでいる。翔くんの怒りをまるで気にしていない。