その日、私はお母さんの荷物を整理していると、その中からある物が出てきた。



「…手紙?」



その手紙は綺麗な箱の中にたった一つだけ入っていた。



封筒には誰宛かも書かれていない手紙だけど、封はされておらず、もしかしたら遺書か何かかもしれないと思い開けてみた。



「……あ」



封を開けそっと中から手紙を取り出し開くと、初文に゛響・お父さんへ゛と書かれていた。



(私とお父さんに?)



やはり遺書みたいなもののようだ。



私はそっとその手紙を読み始めた。



【響・お父さんへ
今、この手紙を見つけて読んでいるという事は、私はもうここにはいないという事ですね。
ごめんね、響、最後まで守ることが出来なくて。ごめんね、玲戸さん。

私はずっとこんな日が来ることを分かっていました。
それに私はしっていたんです、自分がこうなる事を。響知っていたはずよね?
仕方なかったんです。美実はずっと私を含め家族自体に恨み続けていたの。それは、ずっと変わらずに。

だけど、この行為は絶対にしてはいけない事だと、でも美実にとって゛憎んだ相手を殺す゛という感情に何の疑念も持たない所がある。それを仕方ないという気持ちで収めてはならないのは分かってます。

だけど、美実の人生は地獄のような人生で、あの子の存在から逃げるつもりでいたのも事実。
本当は私が美実を助けてあげなければ良かったのだけど、私は家からもあの子からも全てを捨てて見放し、あの子にひどく辛い憎しみをもたらせてしまった。結局の原因は私にあるんです。

お願い…美実を嫌ったり怖い感情を思ってもいいけど、決して恨んだり憎んだりしないであげてください。
私自身、美実を怖がり離れ嫌悪感を抱き、その原因を生んでしまったから。ただあの子は誰かに愛されたかったの。

美実は嫌いな人恨みにくんだ相手を殺した。だから、お願いこれ以上不幸を呼び起こさないようにしてほしいの。私はあの子にチャンスをあげたい。もう一度人として立ち上がれるチャンスを。
私の思いを伝えてほしいの。お願いします。

響、最後まであなたを守れない事に酷く後悔しています。響に対して過保護で異常な程の守り方をしていたかもしれません。それは、美実によって昔、響を一度だけ失った事があったからです。響が失う事は何より耐えれなかったのです。本当はあの人に対しては嫌いな感情や許せない感情があるのは事実で、私は本当の意味で家族に対して向き合っていないのです。
だから、そんな事情など知ってほしくなくて、響には最後まで幸せにいて欲しかったんです。でも、どんなに隠していてもいつかは知ることになる。でも、その時は私の口から話しておきたかったのですが。

私はきっと幸せな人生だったと思います。
ただ家にいた頃は早く出たくて見い出せませんでした。
でも、桜戸さんや響に出会えて普通の幸せな家庭に入れて、本当に嬉しかったです。たくさんの思い出や出会いを見出してくれてありがとうございました。こんなにも幸せな毎日に送れた事に感謝してます。
響をよろしくお願いします。
響には私のような気持ちにはならいで、そして自分のせいだとは思わないでね。


最後に私はたくさんの事を響に隠しています。でも出来れば知ってほしくなかったです。

それから、響にはもう一つ、これからあなたには大きな思いにぶつかると思います。でも決してそこから逃げないであげてください。血にとらわれないでほしい。あなたが思う未来を掴んでほしいから。あなたは私達の一族にとって唯一の救いの存在なんです。だからいつか助けれる存在になってあげて。きっとあなたなら大丈夫だから。


由理華より】



そう長い文章の手紙で綴られていた。


最後の文章はなんとなく意味深があってよくわからなかったが。



「…やっぱりそうなんだ」



お母さんは知っていたんだ。