願う先にある想い

由理ちゃんは実家に帰ったのはこの時が初めてだが、ご両親とは卒業式の時に会いに来てくれていたらしい。



ただ、美実とは一切会っていなかったみたいだ。



どうして由理ちゃんが家を出たがっていたか、どうして家に帰りたがらなかった。



その時の私は少し分からないでいた。



由理ちゃん曰く『あの家にいると、気分が滅入っておかしくなる。それに、美実と両親の関係性なんてこれ以上見たくない』と。



それに、実家に一度帰ったらいいっと言ったのは私自身だ。



実家に帰った由理ちゃんは、ご両親からある話を聞いたそうだ。



これは由理ちゃんから聞いた会話で、この会話を聞いた時私は少し違和感を持った。



『よく帰ってきてくれて、嬉しいわ』



『うん…』



『ねえ、あの子も高校卒業したみたいだけど、これからどうするの?』



『さあ、なんも話さないから知らないわ。
多分、出るんじゃない?』



『そっか』



美実とご両親の関係は何も干渉のない関係性になってしまっていた事に、由理ちゃんは違和感を感じたらしく、むしろ危ういものにも思えたと言っていた。



それは、私の家に帰る前日の事でお母さんが何気なく由理ちゃんに言ってきたのだった。



『ねえ、由理香』



『ん?』



『私ね、もうどうしたらいいのか分かんなくなっちゃったの』



『えっ』



『美実には由理香と同じようになってほして、だから厳しく比較して手を上げてしまっていたんだと思うの。
でも、それがそもそもの間違いだったのかしら。自慢できる娘になってほしく、だからたくさん厳しくしていたのに、それなのにむしろ悪くなる一方で今では干渉する事もなくなって、どうしてこうなってしまったのかしら、何が悪かったのか、今では何も分からないの。
自分が支配されている事酷く後悔でしかない』



『………』



この時、由理ちゃんは『きっと美実のこと嫌っていた訳じゃなくて、ただ美実の為に思ってやっていたんじゃないか』と思ったそうで、それは由理ちゃんも同じ気持ちを持っていたみたいだった。



『私も…酷い事していたんだと思う』



その時、由理ちゃんは今ならまだ間に合うんじゃないかと思った。



昔みたいに……。



『ねえ、お母さん。
だったらさ、本当の気持ちあの子に言ってみない?』



『えっ』



この時、由理ちゃんもご両親も、美実が心の中に感じている感情というものに誰しもが気づいていなかった。



あの子は既に、家族全員に対して憎しみみたいなものが募っているが、もう何もしてこない事に自分自身に終わらせていたから、だから今更何も感じなくなっていた。



感じなくなってしまった美実に、由理ちゃんのその思いは無謀だったから。



それに、心原という血に縛られているからかもしれない。