「あれ? もしかして嫌だった? これでも、美沙樹の着ていた私服を考えて選んだつもりだったんだけど。
やっぱり、もう少しシンプルな方がよかったかな?」



(いや、そうじゃないんだけど)



「そうではないんだけどね、なんでくれたのかなって」



「ああ、それはね。だって、美沙樹…あれからずっと元気さそうだったじゃん。
いつも雑誌とか読んでるのに読んでないから」



もしかして、元気付けようにしてくれたって事?



「だから、くれたの?」



「うん」



(そうだったんだ……)



ああ、やっぱり葉月くんは優しい人なんだ。



きっとこれは、私だから特別にくれた訳じゃないのだろう。



葉月くんはただ優しい人で、ほっとけないだけだから、うぬぼれてはいけないんだ。



「ありがとう、葉月くん」



「ううん、気に入ってくれた?」



「うん。でも、これわざわざ買ってくれたの?」



「うん」



元気付ける為にわざわざ買ってくれたと思うと少し申し訳ないと思い、私も何かお礼をした方がいいかと考える。



「葉月くんって本当に優しいよね」



雑誌をぎゅっと持ち葉月くんに向ける。



「えっ」



と、その時、葉月くんの表情が訝しそうな表情になった。



(?)



「優しい…」