落ち着いた所で、ここあさんは最初に自分のことを尋ね始める。



「私の事は初めて知ったのかしら?」



「はい、昨日です。
でも、従姉妹がいるっていうのは聞いていました」



「あら、そうだったのね」



そう言うと、ここあさんはやんわりと微笑む。



「一応ね、お葬式には出てたんだけど気づいてなかったかしら?遅れてきちゃったけど」



「そうだったんですか、すいません」



気付いてなかった。



あの時は心の中がグチャグチャで判断が付いていなかったから。



「いいのよ、あの子は私の事も何も言ってなかったみたいだからね。でもね、私はあなたの事ずっと知っていたのよ。小さい頃だけどあなたにも会った事もあるのよ」



「そうなんですか」



小さい頃だと言うけど、私が知らないという事は物心つく前の事だろう。



「一応ね、お年玉とかお誕生日とか渡しに行ってたのよ」



「えっ」



そういえば、いつもお母さんから貰うお年玉は普通より1枚多かったり、誕生日は基本お金を貰ってたけどその他にはプレゼントを毎年貰ってたけど、あれはここあさんからだったんだ。



「そうだったんですか。でも、私全然知らなくて」



どうしよう、何かお礼を言うべきなのでは。



「別にいいのよ、私がそうしたいと思ったからあげてたの。それに、響ちゃんに会わないようにしてたのはあの子の為でもあったから、だから知らなくてよかったの。いつかはね会うつもりはいたんだけど、それが今はその時じゃないと思ってたから」



(そっか、そうなんだ)



ここあさんのことを知るって事は美実さんを知るということで、そして、お母さんの実家のことを知るって事なんだ。



だから、会うこともできなかったんだ。



そして、こんな事になるなんて想像もしていなかったんだと思う。



「ごめんね、響ちゃんの大事な人を失くさせてしまって」



ここあさんは申し訳なさそうに、自分のせいかのように謝る。



「そんな、ここあさんのせいなのではないのに」



いったいどんな事情があったか知らないけど、問題の発端は一族の問題かもしれないけど、全くここあさんのせいではないのに、どうして謝るの。



「うん、そうだけどけどね。
でも、私も関わってるのは事実だから」



(そっかあ)



ここあさんもお母さん達と同じ血筋を持っている者だから、関係はなくはないんだ。