「あっこんな所にいたんだ!」



落ち込みかけた所に、ふいに葉月くんの柔らかい声が響いた。



顔をあげて声の方に向けると、にこやかな笑顔でこちらに向かってきた。



「葉月くん?」



「急にいなくなったから探したよ」



お母さんが亡くなって以来、学校では話しに来なくなったのに、というかそれ以前に普段から多くは話し掛けたりはされないけど。



「どうしたの?」



「えっとね、渡したいものがあってね」



そう言って矢吹くんは、そっと私の隣に腰を掛ける。



「これ、よかったらどうぞ」



「えっ」



葉月くんは手に持っていた袋を何気なく差し出してくれる。



私はなんとなく戸惑いつつも受け取る。



「??」



受け取った袋の感触は、本が入ってる感じだった。



(なんだろう……)



袋に手を入れるとやはり本の感触で、本というよりは雑誌みたいな感じだった。



「これ…」



袋から出すと、ふわふわしたかわいらしい柔らかなレースの入ったヒラヒラしたデザインの洋服の着ているかわいい女性が載っている雑誌が出てきた。



「かわいい…」



その雑誌は私が好きそうなファッションで、独特なデザインの柔らかなふわふわしたレースやフリルで、長めのスカートが印象のあるファッション雑誌だった。



普段読んでいる雑誌は、ガーリー系でフェミニンな乙女感のある雑誌だけど、この雑誌もそれとなく自分の好きなファッションだけど、この雑誌は全体的に妖精や童話などに出てくるシフォン系やナチュラルなファッションが中心だった。



(でも……)



なんでこれを私にくれたんだろう。



「あの、なんでこれを?」



くれるのは嬉しいけど、どうしてという気持ちの方が大きかった。