「そういや雑誌読まないね」



「えっ…あー」



読まないというか今は読む気がないだけで。



「そうだ、お洋服買ってあげましょうか。
いつも嬉しそうに服の雑誌 読んでるでしょ?」



「えっでも…まだ買うつもりないし」



いつもはお母さんと選んで買ってるから。



「聞いてるのよ。お母さんといつも買い物行って買ってるって。でも、お母さんもういないし。だから一緒に買いに行きましょう」



「………」



きっとおばあちゃんなりの気遣いなのだろう。



私がいつもと違う様子だという事、おばあちゃんは気付いているのだろう。



「ねっ」



「うん」



嬉しいはずなのに、なんだかいたたまれない感じがする。



なぜ、こんな気持ちになるのだろう。




「………」



翌日の昼休み私はお昼を摂った後、1人で裏庭近くの自販機にジュースを買いに行っていた。



買ったジュースを持って人通りの少ない場所に置いてあるベンチに腰を掛けた。



「……はあ」



静かな場所で盛大な沈黙が陥る。



「⸺っ」



無になるとまた落胆する感情が襲ってきて、感情が苦しくなる。



こんなの良くないって分かってるのに、どうしたら落胆が消えるんだろう。



「はあ……」



白石さんはいったいどこに消えてしまったのだろう。



もしかしたら、また良からぬ事を考えて美実さんに協力させようとしているのだろうか。



さすがにもうないとは思うけど。



でも、私に対しての恨みはあるから考えなくもない。



とりあえず買った紙パックのジュースの付属のストローを入口に入れ口に流しこむ。



「はあ」



何もなければいいんだけど。