私は驚愕した。



その姿はあまりにも衝撃過ぎて脳裏に焼き付かれてしまうぐらいに、嘘だと言って欲しかった。



あの夢と同じだった。



小さい頃にお母さんが亡くなる夢を見た事があった。



それがすごく怖くて、ただの夢で正夢だと思っていた。



だけど、その夢の映像と今 目の前に起きている状況と全く同じ状況だった。



ずっと不安だった。



でも、私はそれを防ぎ事はできないんだって、それも理解していた。



「………」



ベットのシーツはぐちゃぐちゃにしわになっていて、枕は床に落ちている。



そして、お母さんの胸からは血が流れていて、床には大量の血がついたナイフが落ちていた。



また、お母さんの周りには血痕が飛び散っていたのだった。



「あっ…あっ!?」



動揺が抑え切れずどうしたら良いのか解らなくて頭が混乱する中、なんとか頭の中に出てきた考え。



「そ、そうだ!せっ先生を呼ばないとっ」



私はすぐにベットに近付くきナースコールに手を出した。



押そうとしたら、私を止める声が聞こえてきた。



「響…呼ば、なくて…いいの」



「お母さん!!」



発したその声はとても弱々しくて小さな声だった。



「なんで? …今ならっ」



「………」



お母さんは首を軽く振る。



「あっ」



お母さんの状態から見て、もう助からないと一目散に分かった。



だって、心臓から血が出ているから。



まだ息があるのは、完全にいき通っていなかったからだと言える。



でも、もう持たない。



もって数分?ぐらいかもしれない。



きっと先生を呼んでも助からないだろう。



それぐらいお母さんの状態は、酷くて痛々しいものだった。