お母さんの病室の前までやってきた。



何もないように祈るように病室を開けた。



きっと何もないはず。



あるはずがないんだ。



お母さんの病室は個室ではなく2人部屋だけど、今はお母さんしか使っていない。



お母さんの使っているベットは左側の方。



それにしても、何でこんなにも散らかっているのだろうか?



そして、もうひとつ変なのがお母さんの方のベットのカーテンが閉まっていた事。



(なんで、まだ明るいのに閉まっている?)



「………?」



なぜかカーテンの下から布団が少し見える。



なぜ床に布団を落としているの?



しかも、お母さんの服や物がカーテンの外に落ちてる。



「もう……」



お母さんは散らかすような人じゃないのに、不思議に思いながら私は落ちている物を1つずつ拾い上げながらお母さんに声を掛ける。



「お母さん?なんか色々散らかっているよ」



お母さんにしては変だとは思いはしたけど、特には気に掛からなかった。



しかし、お母さんの返事は中々帰って来ない。



「お母さん? …寝てるのかな」と何気なく考え、続けて床に落ちている物を拾っていく。



最後の1枚のタオルを拾い上げ、ふと何かが付いている事に気付く。



「これは…」



タオルには赤い色のしたものが大きい形から小さい点々がその箇所に付いていた。



(!?)



赤い部分を触ると少しぬめっと感じ指に少し赤いものが付いた。



「えっ!?これって…」



その瞬間、持っていた物が全て手から滑り落ちた。



同時にあの夢、昔に見たあの夢が脳裏に走った。



そして——、先程まで感じていた嫌な感じが背中に溢れる。



「うっ…あっ」



その時、カーテンの中から微かな声でうなり声が聞こえ、私はすぐさまカーテンへと振り向き勢い良く開けた。



「!? お母さん!!」



カーテンを開けると、お母さんがベットの上に倒れ込んでいる姿が現れた。