それからお母さんが退院できる事を聞いた。
(その日って明後日だよね。日曜か)
お母さんがようやく帰ってくると思うと、嬉しく思わずお母さんに抱きついた。
「ちょっと、響?」
「だって、嬉しんだもん」
「そうだね」
「うん♪」
これで元に戻れる、戻れるんだ。
きっと、美実さんももう来ないんだ。
そう願いたい。
窓に目を向けると少し暗い明かりに変わっていたので、そろそろ帰ることにした。
「じゃあ、そろそろ帰るね。
あ、お父さんは今日来れないって言ってたよ」
「そっか」
「うん、じゃあね」
挨拶して帰ろうとしたら、お母さんが低い声を掛けられる。
「ねぇ、響」
「何?なにか持ってきて欲しい物でもあるの?」
「ううん、違う。響…聞いて」
その声はあまりにも真剣なもの言いだった。
私は不思議に思いつつもベッドサイドの椅子に掛けた。
「あのね、お父さんにはもう話しているんだけどね、私が退院して落ち着いてからでいいの」
「うん」
「そうね。せめて2学期の間はここに居ましょう。
学校が冬休みになったら引っ越そうと思っているの」
「えっ」
目がキョトンとなった。
「引っ越す?どこに?」
「東京ではない所」
「………」
私は疑問をよそうに尋ねた。
「なんで引っ越すの?お父さんの仕事の都合とか?」
「いいえ」
「だったら別に引っ越なくてもいいんじゃないの?」
私が何気なく言うと、お母さんはとても強いもの言いで言い放った。
「ダメよ!遠い所に逃げなきゃいけないのよ!」
「えっ」
(逃げる?)
私は目を丸くして見つめた。
「あ、ごめん。ごめんね…でも逃げなきゃいけないのは本当なの。それは、分かってほしいの」
「う、うん」
お母さんはふいと背けて悲しい表情をした。
(お母さん?)
逃げるってあの人から?
美実さん…。
そういや、美実さんが家に押し掛けてきて帰った後も「逃げなきゃ」と呟いていた。
一体、お母さんと美実さんの間に何があったのだろう?
こんなにも美実さんにひどく恐れている理由はなんなの?
憎しみがあるからお母さんが家族の事を一度も話そうとしなかったから?
だからなの?
たった2人しかいない姉妹なのにどうして憎しみ合っているのだろうか。
分からない……。
(その日って明後日だよね。日曜か)
お母さんがようやく帰ってくると思うと、嬉しく思わずお母さんに抱きついた。
「ちょっと、響?」
「だって、嬉しんだもん」
「そうだね」
「うん♪」
これで元に戻れる、戻れるんだ。
きっと、美実さんももう来ないんだ。
そう願いたい。
窓に目を向けると少し暗い明かりに変わっていたので、そろそろ帰ることにした。
「じゃあ、そろそろ帰るね。
あ、お父さんは今日来れないって言ってたよ」
「そっか」
「うん、じゃあね」
挨拶して帰ろうとしたら、お母さんが低い声を掛けられる。
「ねぇ、響」
「何?なにか持ってきて欲しい物でもあるの?」
「ううん、違う。響…聞いて」
その声はあまりにも真剣なもの言いだった。
私は不思議に思いつつもベッドサイドの椅子に掛けた。
「あのね、お父さんにはもう話しているんだけどね、私が退院して落ち着いてからでいいの」
「うん」
「そうね。せめて2学期の間はここに居ましょう。
学校が冬休みになったら引っ越そうと思っているの」
「えっ」
目がキョトンとなった。
「引っ越す?どこに?」
「東京ではない所」
「………」
私は疑問をよそうに尋ねた。
「なんで引っ越すの?お父さんの仕事の都合とか?」
「いいえ」
「だったら別に引っ越なくてもいいんじゃないの?」
私が何気なく言うと、お母さんはとても強いもの言いで言い放った。
「ダメよ!遠い所に逃げなきゃいけないのよ!」
「えっ」
(逃げる?)
私は目を丸くして見つめた。
「あ、ごめん。ごめんね…でも逃げなきゃいけないのは本当なの。それは、分かってほしいの」
「う、うん」
お母さんはふいと背けて悲しい表情をした。
(お母さん?)
逃げるってあの人から?
美実さん…。
そういや、美実さんが家に押し掛けてきて帰った後も「逃げなきゃ」と呟いていた。
一体、お母さんと美実さんの間に何があったのだろう?
こんなにも美実さんにひどく恐れている理由はなんなの?
憎しみがあるからお母さんが家族の事を一度も話そうとしなかったから?
だからなの?
たった2人しかいない姉妹なのにどうして憎しみ合っているのだろうか。
分からない……。


