願う先にある想い

お母さんの傷は、少し深かったけど命に別状なかったらしい。



「あ、そうなんだ」



後から私も病院に行った後、治療してくれた医師の人に教えてくれた。



医師の人達がお母さんの病室を出た後、腰が抜けるようにペタンと床に座り込んでしまった。



「美沙樹?」



一緒に病院に来てくれた葉月くんが声を掛けてくれる。



「よかった…。お母さん、死なないんだね。
大丈夫…なんだね」



自問自答する私の言葉に葉月くんは穏やかな声で頷いてくれた。



「うん、大丈夫だよ」



「あ、そうだよね。お母さんが死ぬ訳ないもんね」



私は少しかすれた声で頷いた。



その瞬間、心から本当の安心とほろこびが浮かび上がり、突如涙が頬を伝った。



「…っ」



「美沙樹?」



「あ、あれ?」



涙が溢れるように出てくる。



手の甲で拭いても拭いても何度でも出てくる。



「う…ああっ」



かすれる泣き声までもが口から溢れだした。



「美沙樹…」



私の泣き姿に葉月くんは、優しく頭を撫でてくれた。



葉月くんの優しさが心に染みて、とても暖かくて嬉しかった。



葉月くんは私が泣き止むまでずっと頭を撫でてくれていたのだった。



結局、私はいつだってお母さんに助けられてばかりで自分を犠牲にするばかりだった。



この時起きてしまった事件で、私は自分を悔み罪悪感に苛ませされ始めていた。



それから⸺。



事件が起きた場所の処理は、先生方が何もなかったように元どうりにしてくれた。



救急車が学校に来た時はかなり驚かれたけど、学校が色々配慮してくれたおかげで騒がれず済んだ。



そして、今回の事件の発端を起こさせた白石さんは、学校から1週間の停学処分という結果を言い渡されて事は収まった。



また美実さんは言うと、いつの間にか姿が消えていた。



それからは言うと⸺。



1週間の停学処分が終わった後の白石さんは、ぱったりと葉月くんに会いに来なくなった。



あの時見たあの夢が何か意味してなきゃいいと思いながら、心に願いを募らせるのであった。