願う先にある想い

怒り立ったものの、どうやってあの子に仕打ちをしようか。



大人しそうな子だし、ちょっとした嫌がらせで泣いて怖がりそうな気もするけど。



今までどうり嫌がらせをしてもいいが、それじゃあ心が晴れてくれそうにない。



そんな事を考えながら学校を出て、今住んでいる町の公園に入った。




ふと公園のベンチに座わり込んでうなだれている人を見つけた。



「…………」



なんかけたたましいオーラの放った人だ。



そのせいなのか、怖がって公園に居るはずの人がほとんどいない。



すると不意にその人は顔を上げた。



「!?」



(あの人、確か…)



どうりで怖がって公園にいなかったのか。



あたしはその人がどういう人なのか知っていた。



TVでも何度も放送されていた。



最近ではそういうのはなかったから、小さい子は知らないだろう。



(あっ! ……そうだ)



私はとんでもない事を脳裏に思い付いた。




そして、その人に近づき声を掛けた。



この人に対してほんの少しだけ怖い部分もあったけど、そんな事を思ってる暇などなかった。



あたしは意を決意する。



「心宮美実さんですよね?」



「ああ?」



その人は不機嫌そうな顔で振り向くが、あたしはあえて笑顔を浮かべる。



案の定、感じ悪く怖い感じだった。



瞳もきつく今にも人を殺しに掛かりそうな勢いだ。



「こんな所で何しているんですか?」



「あんたに関係ないだろ」



苛つくように言い放ってくる。



当たり前な口調だ。



見ず知らずな人間に答える義務など持っているはずないよね。



だけど、あたしはある提案をその人に向けたのだった。



「行く所がないんですよね。家に来ませんか?」



「はあ?」



普通の人なら、この人を恐れて絶対にこんな事を言ったりしない。



「家の者には、あたしが説得するので」



「あんた何考えているの?私にそんな事を言うなんて」



「さあ、何ででしょうね」



そして、あたしは不適な笑みを向けたのだった。