「あーどんな子かな? かっこよかったらいいのに」
転校生の話題はクラス中に広まっていて、その話題でもちっきりとなっていた。
「でも珍しいよね。うちの学校に転校生なんて」
「確かに」
鈴白樺学園は中学から大学まである私立の学校で、私と玲杏ちゃんは中学からこの学校に通っている。
うちの学校は転校生というのがほぼなくて、中学の頃でもほとんどいなかった。
だから、まさか高校で転校生が来るとは思わなかった。
「あ、先生が来た」
担任の先生が教室の扉を入るなり、別の場所にいた子は自分の席へと戻る。
と、先生と一緒に入ってきた子に、特に女子達は釘付けになる。
「かっこいいというか、かわいい」
「うん、優しそう」
「ひゃあー素敵」
ささいな声でその男の子に対する印象の声がちらほらと飛びかう。
「はいはい、静かにしてね、特に女の子達。
じゃあ、転校生紹介するね。それじゃあ自己紹介してくれるかな?」
「はい」
先生に言われて、その男の子はクラスのみんなに向かって自己紹介を始める。
彼の名前は葉月 優弥(はづき ゆうや)くんという優しい感じの男の子のようだ。
最初から、女子の間からキャーキャーと騒がれていた。
「あーイケメン最高」
「杏ちゃんってイケメン好きだよね」
「イケメン最高」
玲杏ちゃんは色々面食いところがあり、女の子なら可愛い子が好きで男の子ならかっこいい子が好きなのだとか。
「でも、ちょっと残念」
《良いんだけど、かわいい系なのが…》
「良くないの?」
「良いんだけど、かっこいい感じが良かったなって」
(あーそういう事ね)
確かに彼の顔立ちはかっこいいというよりはかわいらしい感じだ。
でも、優しそうなのは間違いなさそうだ。
「でも、さわやかで優しそうだよね」
「そうだよね!!」
私が何気に言った言葉に玲杏ちゃんは食いつくかのように言葉を発す。
そんな感じでクラスの女子はが葉月くんに夢中だった。
「………」
(男子かぁ…)
でも、私は彼に対して何の感情も示していなかった。
というのも、元々私は男子に対しては自分から話しかけようとは思わない性質で、特に男子の方が心の声がよく聞こえる事が多いというのもあってあまり感情を示す事がなかった。
そのせいなのか、男の子になんとなく苦手意識があった。