あの人がいない生活がこれ程までにも幸せだと初めて知った。



何もかもが休まる感情が嘘のようだった。



あの人がいる日はまともに寝れなくて、家にいない日は寝れていたが、心が気が気じゃなくて苦しいものだった。



でも、穏やかな生活に戻りしばらく気がおかしかったりしたが、なんとなか気持ちが柔らかく感じる事ができた。



だけど……。



今日、偶然にも再会した俺は少しだけ恐怖で煽られていたのかもしれない。



もしかしたら、また同じ事をするのではないのかビクビク感じていた。



これ以上、穏やかになった生活を壊さないでほしい。



あなたのせいで、心も環境もめちゃくちゃになってなってしまった。



これ以上あの人に関わっていくとロクな事にならない。



だから……。




「おっ買い物帰りか。今日は随分遅いんだな」



スーパーから住んでいるマンションに戻ってくると、ちょうど会社帰りの父さんと鉢合わせになる。



「うん、友達の家行ってたから」



「そっか」



エレベーターに乗り込み無言のまま壁に背にする。



そんな俺の姿に少し疑問を感じる父さん。



自分の家の部屋に入り、すぐに夕食の準備に取り掛かった。



夕食の際に今日あの人に会った事を父さんに言うべきか悩んだが、結局言う事はしなかった。



「どうしたんだ、優弥。今日は元気ないな。なんか、あの頃みたいに調子悪い感じだな」



「っ」



夕食後、お風呂へ入りに浴室に向かおうとした際に、父さんは俺に向って何気なく言ってきた。



気づいてた?



いや、当たり前か。



父さんだもんな。



「いや、大丈夫だよ。少し寝不足なだけだよ」



「そうか、ならいいが。お前は溜め込みやすい性格だから、だからあの時あんな事なってたなんて気づかなかったから」



「別に父さんのせいじゃないよ」